障害年金でいう「障害の状態」とは?
2025年10月18日 09:34
「自分の状態は障害年金の対象になるのかな」
「少しでも働いていたらダメなんじゃないか…」
精神疾患の方からよく聞く不安です。
うつ病や双極性障害などは、体調の波があり、診断名が同じでも生活のしづらさは人によって大きく異なります。
この記事では、障害年金で重視される「障害の状態」について、精神疾患を例にわかりやすく解説します。
障害年金の判断基準は「診断名」ではなく「生活のしづらさ」
障害年金の審査では、診断名そのものよりも、
どれだけ日常生活が制限されているか
どれだけ支援や見守りが必要か
といった生活の実態が重視されます。
判断の主な視点
食事・清潔保持・服薬管理・金銭管理・対人関係などがどの程度自力でできるか
見守りや声かけの頻度
症状の反復・持続性(良い日と悪い日の差)
就労の実態(短時間勤務や配慮付き就労でも、制限が大きければ対象となる場合あり)
等級イメージ
1級:常時介護や見守りが必要
2級:日常生活に著しい制限があり、継続的な支援を要する
3級:労働に著しい制限があり、就労上の不利がある
具体例:うつ病の場合(架空事例)
服薬を自己管理できず、週3〜4回家族の声かけが必要
食事は1日2食以下になる日が多く、入浴は週1回程度
通院以外の外出は月に2回ほど
短時間勤務(週10時間未満)でも欠勤・早退が多い
診断書には「日常生活能力は援助があれば一部可能」と記載
このように、生活の多くの場面で支援が必要な状態は、2級相当にあたるケースが考えられます(あくまで例示です)。
「障害の状態」を示す3つの重要書類
① 診断書
傷病ごとに定められた様式があります(例:精神の障害用)。
「どのくらい・どんな支援が必要か」を具体的な回数・頻度で記載してもらうことで、実態が伝わりやすくなります。
② 受診状況等証明書
初診日(最初にその病気で医療機関を受診した日)を証明する書類です。過去の病院に依頼して取得します。
③ 病歴・就労状況等申立書
ご本人の言葉で生活や就労の困りごとを時系列でまとめます。
たとえば:
「2024年10月頃から朝起きられず、欠勤が月6〜8日」
「入浴は週1回、歯みがきは1日1回以下」
「通院は家族同伴」
「買い物は10分で息切れし、休憩が必要」
数字を入れることで第三者にも伝わりやすくなります。
よくある誤解と実際
「働いている=対象外」ではありません。
→ 短時間勤務や配慮付き就労でも、制限が大きければ対象になり得ます。「診断名だけで決まる」わけではありません。
→ 実際の生活のしづらさや支援の必要度を重視。「その日だけの調子」で判断されません。
→ 一定期間の平均的な状態を基準とします。
申請準備の3ステップ
生活の記録を整理する
通院領収書、欠勤メモ、家族の介助頻度などを日付と一緒にまとめる。書類をそろえる
受診状況等証明書を医療機関に依頼し、主治医に診断書作成を相談。
※医療内容の指示は避け、生活の実態を客観的に伝えることに集中。数字で実態を言語化する
「週◯回」「1回◯分」「月◯日」など具体的に記載。
※本記事は、noteで反響をいただいた記事をもとに加筆・再編集したものです。
※本記事は一般的な情報提供で、医療行為の助言や結果の保証をするものではありません。最終的な判断は公的機関の審査によります。