障害年金サポートネットささき

初診日のカルテが無いときの対処法

2025年10月18日 09:34

「最初にかかった病院が閉院している」
「昔すぎてカルテが残っていないと言われた」

障害年金の手続きを考えるとき、このような不安を抱える方は少なくありません。
「カルテがないなら、もう申請できないのでは…?」
そんな不安なお気持ち、よく分かります。

でも、結論から言うとカルテが無くても、あきらめる必要はありません。

障害年金で「初診日」が重要な理由

障害年金では、「障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診察を受けた日」を初診日と呼びます。
この日をもとに、

  • どの年金制度(国民年金/厚生年金)に加入していたか

  • 保険料納付の条件を満たしているか

が判断されます。

そのため、請求手続きでは「初診日の証明」が必要になります。
通常は、最初にかかった病院で「受診状況等証明書」を発行してもらう形です。
しかし、カルテが残っていなければこの証明書を作成してもらうことができません。

医療機関のカルテ保存期間は原則5年。
精神疾患など長期通院になる病気では、初診から10年以上経っているケースも多く、
廃棄済みの場合も珍しくありません。

カルテがなくてもできる3つの方法

「カルテがない=詰み」ではありません。
制度上、カルテがない場合のための代替手段がいくつか用意されています。

① 次にかかった病院の証明を活用する

初診の病院が廃院していても、
その後に通った病院に「前医からの紹介状があった」などの記録が残っている場合があります。
その記録をもとに、受診状況等証明書に初診日を記載してもらえるケースがあります。

② 病歴・就労状況等申立書で経緯を説明する

「いつ頃、どこの病院に通ったか」など、本人の記憶をもとに経過を記入します。
これはあくまで自己申立てですが、他の資料とあわせることで初診日を推定できることがあります。

③ 第三者証明を添付する

家族・友人・職場の上司など、当時の状況を知る人の証言を文書にまとめて添付する方法です。
たとえば「平成20年頃、◯◯病院に付き添った」などの内容があれば、補足資料として有効です。

事例:Aさんの場合(仮名)

Aさんは20年前、うつ病で最初に小さなクリニックを受診しました。
ところがその病院はすでに閉院しており、カルテも残っていませんでした。

しかし、その後通った総合病院の記録に「前医からの紹介状持参」との記載があり、そこから初診日を推定できました。

さらに、Aさん自身の「病歴・就労状況等申立書」と、家族の証明文を添付した結果、
初診日の裏付けが取れ、無事に請求に進むことができました。

諦めず、手がかりを集めてみましょう

初診日の証明は、障害年金のなかでも特に難しいポイントの一つです。
ですが、「証明できない=申請できない」ではありません。

大切なのは次の3つです。

  • できる範囲で手がかりを集める

  • 制度上の代替手段を理解して使う

  • 一人で抱え込まず、専門家や関係機関に相談する

焦らずに、ひとつずつ整理していけば道は開けます。


※本記事は、noteで反響をいただいた記事をもとに加筆・再編集したものです。

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※本記事は一般的な情報提供で、医療行為の助言や結果の保証をするものではありません。最終的な判断は公的機関の審査によります。